〜対談:浦道院長 × 栗林助教〜
やばいですね、手ぇ抜いとったらいかんですね
栗 その人にあった教え方、この人にはこれでいいけどこっちの人にはこうとか教え方を変えてらっしゃるんですか?
師 いやそこまで考えてない。基本と一緒やん。
栗 僕はそれを考えます。最初からある程度できる人間っていますよね?1言って5理解してくれる人、1言っても半分しかわからない人もいる。同じ事をいっても同じようには理解してないなと感じる。
師 うん。それはあるね。新入門の人なんかは、有段者より1級とか2級とかの人に習う方がいいかもしれん。同じような疑問を持ってる人間が教えたほうがね。逆に僕らだと難しく教えてるのかもしれない。
栗 そうですね。言葉の使い方とかも、理解していると思って使ったりしてるから。
師 だけど、最初の数週間てのはすごく大事やけんね。それでもう先が決まるといってもおかしくないくらいに。基本の形とか。それをおろそかにしてると後で苦労してる。最初の1ヶ月、とびとびじゃだめ。
栗 言葉変えて言った瞬間に理解する人っているんですね。新入門を教える時にですね、どうやったら理解してくれるのかな覚えてくれるのかなと色々言葉変えて教えるわけですよ。色んなこというんですけど、その人その人でヒットする言葉が違うんですよね。
師 俺はね、基本的にはまず見て覚えろ。言葉ってのは後からついてくるもの、なかなか難しいやない。
栗 僕が教えてるときに僕を見てない人はたいがい来なくなりますね。何人かいましたよ。(笑)続いてる人は他人のこと、先生の姿をよくみてます。僕も先生のことよくみてます。
師 俺もみんなをみてるよ。
栗 やばいですね。手ぇ抜いとったらいかんですね。
師 特に人が少ないときはよく見えるよ、でもそれも大事なこと。常に全体をみてどのくらいできてるかなぁとかね。
「浦君、えらいよ」なんていわれて、じゃあがんばってみようかなって
師 何年か先、栗林も道場を開くやろうけどさ、俺一番思うのはね、みんな仕事があるわけやない?学生は勉強あるし。その時間をさいてくるわけだからそれに見合うことをしてあげないと。ただ基本やって技やって帰るだけじゃ可愛そう。何か楽しいこと、来てよかったなってことをね。それが技でもいいかもしれないし、他の練習でもいいかもしれんよ。そう思えないとまた行こうってならない。特に初段取ったらふっとやる気が半減する人が多いからね。それをいかに続けさせるかが難しいと思う。
栗 変化がないとですね。
師 練習を考えたり、入門式で演武やれとかあまり来ない人にね。そうすりゃ来るやない。来ないと何もない、ゼロ。来れば絶対何かがある、プラスがある。それは俺が道場開くとき思った。一般拳士増えたときにもね。これだけ多いとただ来てやらせるわけにいかんなぁって。自分を置き換えてみたらいいよ。今この道場に自分が行ってどうかなぁとかね。
栗 そんな風になれたらいいな。
師 栗林は二つ道場をみてるわけだから、その中のいい部分に自分の考えを加えてね。俺も大学行って西道院行って両方のいい面とね、それに自分の考えを加えてね、こうしてもいいかな、こうした方法もあるなとか、自分の道場だから思い切ってできるやない。
栗 僕はですね、それがないんですよ。こうした方がいいとか思うことが。思う前に先生が全部やってらっしゃるんですよ。
師 それでも何かでてくるって絶対に。自分だったらっていうのが。それを生かしていかないと。そうしないと発展性がない、道場として。うちのコピーになってしまう。それは絶対にいかん、絶対中央道院のコピーじゃいかんとって。自分のいいとこをだしていけばさ、うちよりももっといい道院になるわけだから。そういう意味で楽しみなんだ、プラスアルファが。
栗 うーん、自分で道場を開いてってそういう欲はありますね。
師 全然違うよ。俺もそうだったけど幹部の立場と道院長になって拳士をみる立場っていうのは全然違ってくる。愛情そのものよね。
栗 そういう知らない部分も知りたいし。できるものかもわかんないですけどやってみたいし。
師 俺がね真っ先に相談したのが京都西道院の高野道院長。(※3)あれは少林寺拳法の40周年の時やったと思う。俺当時福岡西道院の幹部で、自分が今抜けたら松下(※4)もいない時期だったし幹部がいなくなるからね、どうしようと思って。それでも自分が道院長としてやりたいって気持ちがあった。「えらい、えらいよ」っていわれた。「浦君、えらいよ」なんていわれて「あーそっすかー」なんて。じゃあがんばってみようかなって思って。ところが『えらい』ってのは『きつい』って意味なんだな京都弁で。当時高野道院長はまだ3年目、かけだし。「よく考えろよ、えらいよ、大変だよ」って。だけども「人の喜びが自分の喜びになった」って。そのときはその言葉よくわからんかった。わかったのは道院開いて数年目。色んなことでね。自分が道院長になってはじめてそれはわかると思う。後から思うとね、すごい言葉。
※4 松下先生 筑前黒田道院長 浦先生の親友
バリバリだよって、いいねー
栗 先生肩の調子はいかがですか?
師 うーんあんまり。だけどさ、理想は矢沢永吉たい。コマーシャル知らん?矢沢永吉が友達とすれ違う、「まだ音楽やってんの?」って聞かれる。「うんやってるよ」ってさらっと答える。いなくなったころに「バリバリだよ」。あれかっこいいったい。ホントにやってるよって言い方するったい。バリバリだよって。いいねー。 今年はね、俺ね、20周年にむけて鍛えぬく。15周年去年したばっかりやけど実質的には17年目でしょ。あと3年でしょ。だからある程度構想をね。20周年までは現役でがんばりたいっていうのがあるから。その後はぜんぜんわからないけれども、それまではなんとかがんばりたい。色々なことを試行錯誤しながら今年ぐらいから少しやろうかなって。
栗 はい!楽しみにしときます。
【編集後記】
長い間中央道院を引っ張ってきてくれた栗林助教が故郷の長崎へ転籍することになりました。とても寂しく、そして頼りにしていただけに困っています。でも浦先生がいつもおっしゃる「拳法を続けていればどこにいてもつながってる」という言葉を信じ、教わったことを忘れず練習していきます。栗ちゃん先生ありがとう!(弟子)